施工現場で起こりやすい「傷・欠け」リスクと防止策
2025/12/08
人工大理石は高級感と耐久性を兼ね備えていますが、施工現場では傷や欠けが発生しやすい素材でもあります。特に角部やエッジはわずかな衝撃でも破損につながるため、施工者は取扱いと保護策に細心の注意を払う必要があります。ここでは破損リスクの理解と予防策、万一の対応方法までを整理します。
人工大理石の物理的弱点と破損しやすい場面
破損しやすい部位
・角部・エッジ:衝撃集中により欠けやすい
・接合部:接着面は素材の一体強度より弱く、曲げやねじれに弱い
・運搬中の端部:搬入経路で壁や柱に接触しやすく、割れの原因となる
高所作業・重量移動時の注意
人工大理石は比重が高く、重量物の衝撃や落下に弱い性質があります。特に高所作業での落下や、重量機器を上で移動させる行為は表面割れや内部クラックの原因となります。衝撃が集中する部位(角や端部)への荷重は避けるべきです。
傷・欠けを防ぐ施工中の取り扱いルール
持ち方と仮置き台
搬入時は縦持ちを基本とし、二人以上で持ち運びます。仮置きは水平で安定した作業台を使用し、直接床置きしないこと。仮置き台には柔らかい緩衝材を敷き、局所荷重を避けます。
滑り止め材と養生
運搬や設置時には滑り止め付き手袋やラバーマットを使用します。また、角部やエッジには緩衝養生材を巻き、通路の動線を事前に確保して衝突リスクを減らします。現場全体での動線管理徹底が破損防止の要です。
万一の破損発生時の対応方法|現場補修の基本
応急処置と再研磨の可否
欠けやヒビが発生した場合は、破片を保管し、現場で樹脂充填による補修を行います。軽微な傷は再研磨で目立たなくできる一方、深い欠けや割れは補修跡が残る場合があります。その可否判断は、傷の位置・大きさ・使用環境を基準に行います。
仕上げ直しと品質保証
補修後も強度や外観に不安がある場合は、該当部位の交換が必要です。対応フローは、破損報告 → 現場責任者・発注者への連絡 → 補修または交換の決定 → 作業実施 → 最終検査の順で進めます。品質保証の範囲や条件は契約時に明文化しておくことが望ましいです。
まとめ
人工大理石は美しさと耐久性を備えていますが、現場での取り扱い次第で品質が大きく左右されます。破損リスクを理解し、搬入・仮置き・養生・動線管理すべてで予防策を徹底することが、プロ施工者に求められる基本姿勢です。
