CONTACT US

現場での“収まり調整”事例──既存建材との取り合いを美しく仕上げる工夫

人工大理石カウンターやパネルの施工では、設計図通りに収まらない場面が少なくありません。そこで求められるのが、現場での柔軟な“収まり調整”の技術です。本稿では、仕上がりの精度と美観を守るためにプロが実践している調整の考え方と具体的な工夫を紹介します。

想定とズレる“収まり”の実情|現場で起きがちな寸法・設計ギャップ

設計図通りに収まらない理由

現場でよくあるのは、下地の位置のズレや他設備との干渉です。配管・配線ルートの変更、壁下地の施工誤差などにより、カウンターやパネルの予定位置が数mm〜数cmずれることがあります。また、既存建材との境界部では直角や水平が保たれていないケースも多く、そのまま設置すると隙間や段差が目立つ原因となります。

納まり精度に影響する周辺環境

素材の特性や施工環境も精度に影響します。

 ・アクリル系:樹脂製のため温度変化や湿度で伸縮が発生しやすい。

 ・クオーツ系:樹脂を含むため、わずかに伸縮するがアクリルより安定。

 ・セラミック系:ほぼ伸縮せず、寸法安定性は高いが現場加工は困難。施工環境が高温多湿の場合、完成時の寸法感覚を誤ることもあるため、素材特性を踏まえた調整が欠かせません。

現場調整の引き出しを増やす|カット加工・小口調整の具体策

小型工具を用いた微調整

トリマーやサンダー、ダイヤモンドブレード付きの小型切断機などを使えば、現場でも精度の高いカットが可能です。特に端部の小口調整では、最小限の削りで済ませることが仕上がり精度を保つポイントです。

不陸・目地ズレの補正方法

既存壁や床の不陸には、パッキン調整や下地補強で水平・直角を確保します。目地ズレは、シーリング幅や色を工夫して吸収します。シーリングは同系色で目立たせない方法と、あえてコントラストを付けてデザイン化する方法の両方を引き出しとして持っておくと便利です。

仕上がりを美しく保つための“見せ方”|プロが実践する納まり工夫

境界の意匠処理

建材の境目にはトリム材や目地カバーを使い、段差や隙間を視覚的に隠します。面取り加工を施すことで、衝撃による欠け防止と同時に柔らかい印象を与えられます。

隙間や段差を活かすデザイン化

すべてをゼロクリアランスで収めることに固執せず、あえて意匠的な溝やラインを設ける事例もあります。例えば、ステンレスや異素材を差し込むことで境界をアクセントにし、機能とデザインを両立させる方法です。

まとめ

 現場での“収まり調整”は、図面上の寸法精度だけでは解決できません。素材特性・環境条件・加工技術・意匠処理を総合的に判断し、最適な方法を選ぶことがプロの施工品質につながります。


お問い合わせはこちら