CONTACT US

世界の内装トレンドに学ぶ。人工大理石デザインの今とこれから

近年、世界の建築・インテリア分野では人工大理石の需要と表現手法が急速に多様化しています。ヨーロッパの伝統とアート性、北米の大胆な色使い、アジア圏の機能美など、各地域で異なるトレンドが形成されつつあります。本稿では、グローバルな視点で人工大理石の最新動向を紐解き、日本の設計・施工現場でも活かせる素材提案のヒントをご紹介します。

欧州・北米・アジアの人工大理石デザイン事例

地域ごとに異なる文化背景や素材感の好みを分析し、空間設計への応用可能性を探ります。

欧州:クラシカルとコンテンポラリーの融合

ヨーロッパでは、ベージュやグレージュ系のマーブル調人工大理石が根強い人気。とくに高級住宅や歴史的建築のリノベーションでは、天然石のような風合いに加え、目地の少ない大判パネルを用いた“シームレスデザイン”が評価されています。照明との相性やアート的造形を加味した設計が特徴です。

北米:大胆なカラーとパターンで空間にアクセント

北米では、コントラストの強いダークトーンやストーンベイン(石目模様)を強調した柄がトレンド。キッチンのアイランドカウンターや洗面台では、素材そのものが空間の主役となるデザインが増えています。特に、深いグリーンやチャコールブラックといったカラーが住宅市場で支持を得ています。

アジア:機能性とミニマリズムを両立

アジアでは、人工大理石の清掃性や抗菌性が重視され、グレーやホワイト系のマットな質感が主流。日本や韓国では、商業施設や医療施設において「メンテナンス性+高級感」の両立を意識した選定が進んでいます。

海外で進む“石材×テクノロジー”の融合トレンド

素材の美しさに機能性を掛け合わせた事例から、人工大理石の進化と新たな価値を提示します。

ライトスルー対応の演出照明

人工大理石の中でも透光性素材は、高級ホテルやバーラウンジなどで、バックライトを活用した幻想的な空間演出に用いられています。レセプションカウンターや壁面造作において、“素材が光る”という設計要素は、今後の提案に新たな差別化要因をもたらします。

タッチレス機能・抗菌加工の融合

医療・教育施設向けでは、非接触操作の水栓や抗菌トップコートとの併用が進んでおり、人工大理石との親和性も高いです。物理的な滑らかさゆえに菌の付着が少なく、衛生環境を保つ素材として再評価されています。

デジタルプリント技術による模様の自由化

最新のデジタルプリント技術により、人工大理石で木目調や金属風の表現も可能に。多素材の統一感を演出する建築意匠として、従来の石材では難しかった“柄合わせ”にも対応できる点が注目されています。

国内設計でも活かせる、トレンド提案の切り口とは

海外の要素をそのまま導入せず、空間や施主の期待に合わせた“日本仕様への翻訳”がカギです。

空間用途に応じた素材の“見せ方”を変える

例えば、オフィスでは静謐なグレー系で集中力を高め、レストランでは深色で高級感を演出するなど、空間機能に即したカラー・柄の選定が重要です。素材の「主役化」か「引き立て役」かという視点も、提案時に説得力を持たせます。

トレンドに物語性を加える

「ヨーロッパの伝統柄を日本の和空間に落とし込む」「サステナブルな人工素材でSDGsに寄与する」といったストーリー設計は、施主やクライアントの共感を生みやすく、素材提案の厚みを増す要素になります。

国内施工技術に即した製品選定

大判・薄型素材は、日本のリフォーム現場では扱いにくい場合もあります。現場での加工性、目地処理のしやすさ、防水処理との相性といった“施工目線”での素材評価も忘れてはなりません。


お問い合わせはこちら