「納まり」で決まる意匠性ー人工大理石のディテール設計の考え方
2025/09/24
高級感のある人工大理石も、細部の納まりひとつで印象は大きく変わります。見切り、天板の端部、ジョイントの処理など、設計初期から意識すべきディテール設計のポイントと、弊社が現場で提案してきた納まり実例をご紹介します。
見切り・端部・コーナー処理—設計時に注意すべき納まりポイント
人工大理石の美しさや機能性は、細部の設計次第で大きく左右されます。特に、見切りや端部、コーナー処理のディテールは、施工後の完成度を決定づける要素です。たとえば、端部の厚みが適切でないと、薄く見えてしまい、安っぽい印象を与える恐れがあります。
また、人工大理石特有の“曲げ加工”や“一体成型”のしやすさを活かすには、設計段階からR形状(曲面)やエッジの形状を明確にしておく必要があります。さらに、安全性の観点では角の面取りや、出隅・入隅の丸め加工なども重要です。これらを意識することで、使用時の快適さや安全性を高めつつ、意匠的にも洗練された仕上がりになります。
“見せたい継ぎ目”と“隠すべき継ぎ目”の考え方
人工大理石はシーム(継ぎ目)処理によって、まるで一枚板のような美しい仕上がりを実現できますが、継ぎ目をどこに配置するか、どのように処理するかは設計者のセンスと技術に委ねられます。
意図的にラインを生かすデザインの場合もありますが、目立たせずに一体感を重視することが人工大理石においては一般的です。色・柄によっては継ぎ目位置が分かる場合もあるので全体的なデザインや下台、扉などとの兼ね合いなどでジョイント位置を考慮した設計が必要な場合もあります。さらに、メンテナンス性を重視する場合は、将来のメンテナンスで再施工が可能な構成にするなど、実用面も考慮した継ぎ目設計が求められます。
弊社が提案する現場別ディテール調整の実例
弊社では、数多くの現場経験を活かし、用途や空間の特徴に合わせた納まりの提案を行っています。
例えば、商業施設のカウンター施工では、見切りと照明との一体化を図ることで浮遊感のあるデザインを実現。また、病院の洗面まわりでは、継ぎ目のない一体型洗面カウンターを提案し、清掃性と衛生面を両立しました。
オフィスやホテルの什器施工では、壁面との接合部に控え目な見切りを設け、空間全体の調和を保つ工夫も施しています。現場ごとに最適なディテール調整を行うことで、単なる施工にとどまらず、空間の価値を最大化することに貢献しています。
まとめ
人工大理石の意匠性は、素材そのものの質感だけでなく、細部の“納まり”の巧拙によって大きく印象が変わります。設計初期からディテールに意識を向けることが、完成度の高い空間づくりにつながります。弊社では、長年の経験と技術力をもとに、用途や空間に応じた最適な納まりを提案しています。高品質な意匠性を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。