天然石と人工石の違いを知って効率的な提案を実現
2025/08/31
内装・外装の素材提案において、天然石と人工・人造大理石 の使い分けは、デザイン性だけでなく施工性・コスト・メンテナンス性など多くの要素を左右します。クライアントの要望や使用環境に合わせて適材適所の選定ができることは、プロとしての信頼にもつながります。
この記事では、代表的な石材の特徴と用途別の推奨素材、選定時のポイントを整理し、効率的な提案力を高めるためのヒントをお届けします。
天然石と人工・人造大理石の特徴
御影石(天然石)
火成岩の一種で、硬度・耐久性に優れています。耐水性も高く、外構や床材によく使用されます。粒状の模様が特徴で、重厚感ある仕上がりに向いています。
大理石(天然石)
柔らかく加工性が高い一方で、酸に弱く、傷やシミがつきやすいため、主に内装用として人気です。独特のマーブル模様が高級感を演出します。
アクリル系(人工大理石)
メチルメタアクリレート樹脂(MMA樹脂)を固めた人工大理石。
クォーツ系(人造大理石)
天然の水晶を主成分とした人造大理石。硬度が高く、キズがつきにくいため、キッチン天板や洗面カウンターに最適です。デザインのバリエーションも豊富です。
セラミック系(人造大理石)
高温で焼成された薄型の人造大理石 で、耐熱・耐汚性能に優れ、屋内外問わず使用可能です。デジタルプリント技術により大理石や木目、コンクリートなど自然素材の質感や色調を精密に再現。薄型の物は大判でも軽量なため、施工の自由度が高く、モダンなデザインに適しています。
用途別おすすめ素材
キッチン
耐熱性・耐汚性が求められるため、アクリル系人工大理石やクォーツ系・セラミック系人造大理石が有効。大判サイズでの搬入が可能な為、美観と機能性を両立させることが可能。
バスルーム
水回りであるため、防水性・耐滑性が重視されます。セラミック系人造大理石はカビが付きにくく、メンテナンスも容易。石目調のデザインでリラックス空間も演出可能です。
アクリル系人工大理石の場合、樹脂素材の為、熱温度変化に対しては劣る。
商業施設
デザイン性と耐久性のバランスが求められます。御影石は高い耐摩耗性があり、床や壁面の仕上げに適していますが、施工面では自由が効かない側面もあり。一方、人工大理石は加工・施工の自由度が高く色調の統一やR形状加工、ロゴ埋め込みなどの加工自由度が強みです。クオーツ系・セラミック系人造大理石だと加工自由度が制限される場面もありますが、
天然石と比べて大判サイズの為、意匠性の高さや施工時間の短縮などがメリットとなります。
選び方のポイントとは?
コスト
天然石は採掘や加工にコストがかかるため、人工石に比べて高価になりがちです。コスト重視の現場では人工石の活用が進んでいます。
耐久性
屋外や高頻度使用エリアでは、御影石やクォーツ系人工石が優位です。大理石は美観は優れるものの、劣化や酸性物質に注意が必要です。
メンテナンス性
人工大理石の多くは吸水率が低く、汚れに強いため、清掃頻度を抑えたい施設や商業空間で有利です。
デザイン性
大理石は一点ものの風合いが魅力。一方で人工大理石は、色・柄の均一性や再現性の高さが大きなメリットであり、空間全体での統一感を求める際に最適です。
まとめ
天然石と人工大理石は、それぞれに強みと制約があります。素材の特徴と用途、コスト・メンテナンスなどの視点を踏まえて提案できれば、顧客の課題解決と納得感のある設計提案が可能となります。多様化する建築ニーズに応えるためにも、素材の基本性能を把握し、シーンごとの最適解を導く力が今、求められています。