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未来の内装素材を読む。人工・人造大理石×最新トレンド&技術動向

 人工・人造大理石は、その高い意匠性とコストバランスから、内装設計の定番素材として幅広く採用されてきました。しかし現在、この分野でも「環境配慮」「高機能化」「デザイン性」といった複数の軸で進化が進んでいます。薄型化やリサイクル素材の活用、ハイエンド空間での採用事例など、次世代の内装設計に求められる人工・人造大理石の最新トレンドと技術動向を解説します。

薄型セラミックやリサイクル素材など最新マテリアルの進化

近年、人工・人造大理石において特に注目を集めているのが「薄型・軽量化」と「サステナブル素材の導入」です。
薄型セラミックパネルは、厚さ3~6mmというスリムな形状ながら、耐衝撃性・耐熱性に優れており、壁面や家具仕上げにも対応可能です。輸送や施工の負担が軽減される点でも評価され、リノベーション案件での採用が急増しています。

また、製造時に廃石やガラス、建築廃材を再利用したリサイクル人工・人造大理石も注目株です。欧州では、100%リサイクル素材からなる人工・人造大理石が商業施設やホテルで採用されており、SDGs対応建材としての価値が高まっています。

注目のデザイン傾向とハイエンド施工事例(海外含む)

人工・人造大理石の進化は、デザイン性の幅広さにも及んでいます。近年は単なる「大理石風」から脱却し、金属調・木目調・コンクリート調など、多様な質感や模様を再現できる製品が登場しています。
中でも欧米でトレンドとなっているのが、一体感のある大判パネル仕上げ。目地を極力目立たせないことで空間に広がりと高級感を演出し、ホテルロビーやブランドショップなどの高級内装で採用が進んでいます。
国内でも、都内の高級レジデンスにおいてキッチンカウンターや洗面台に大判の人工・人造大理石を用い、天然石のような迫力と均一性を両立した事例が登場しており、設計士の間での注目度が高まっています。

環境配慮と高機能を両立する次世代人工・人造大理石の可能性

これからの人工・人造大理石に求められるのは、環境負荷の低減と機能性の両立です。実際、製造工程におけるCO₂排出量削減、VOC(揮発性有機化合物)の発生抑制など、グリーンマテリアル化が進行しています。
加えて、抗菌・抗ウイルス性能を持つコーティング技術や、セルフクリーニング機能をもつ表層処理が商品化されており、医療施設や教育機関などでの導入が検討されています。
建材選定時のLCA(ライフサイクルアセスメント)評価の導入も進んでおり、単なる素材選びから、環境・健康・運用コストを含めた総合的視点での判断が今後のスタンダードとなるでしょう。

まとめ

人工・人造大理石は今、素材・性能・デザインのすべてにおいて大きな転換点を迎えています。薄型化やリサイクル素材の普及は施工性と環境対応を両立させ、ハイエンド空間での採用事例は、その意匠性と応用性を示しています。

建築業界のプロフェッショナルに求められるのは、これらの新潮流を的確に捉え、次世代の内装設計にふさわしい素材選びと提案力を備えることです。人工・人造大理石は、未来志向の空間づくりにおいて、ますます重要なポジションを占めることになるでしょう。


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