人工大理石の“音と衛生”性能 ― 快適空間を支える見えない価値
2026/02/19
人工大理石は、その『意匠性』や『耐久性』に注目されることが多い素材です。しかし近年では、空間の音環境や衛生性能への貢献も評価され始めています。特に医療施設や商業空間においては、利用者の体験価値を高める要素として「見えない性能」が重要視され、素材選定の基準が変化しています。
音環境に寄与する人工大理石
人工大理石は硬質素材であるため、音をよく反響させる特性を持っています。この反響性は時に騒がしさを増す要因にもなりますが、吸音材や木材との組み合わせ、壁や天井の設計によってコントロールすることで、心地よい音環境を実現できます。
例えばホテルのラウンジやレストランでは、人工大理石のカウンターや壁面を用いながらも、音の響きを抑えた設計により「落ち着いた会話ができる空間」が提供されています。デザイン性と同時に、利用者の滞在時間や快適性を左右する音響の調整は、もはや欠かせない要素です。
衛生性能と非多孔質性
人工大理石のもう一つの強みは「非多孔質性」です。吸水率が極めて低いため、汚れや水分が染み込みにくく、カビや細菌の繁殖を抑制できます。日常的な清掃が容易であることから、医療施設や介護施設では衛生管理の観点から高く評価されています。さらに、抗菌加工を施した製品も登場し、衛生性能は一層向上しています。
コロナ禍以降は「非接触」や「簡易清掃」のニーズが高まり、短時間で衛生的な状態を保てる人工大理石は、受付カウンターや共有テーブルといった多くの人が触れる場所に適した素材として再評価されています。
音と衛生を両立させる設計の工夫
商業施設や公共空間においては、「意匠性」「清掃性」「音響」の3要素を同時に満たすことが競争力につながります。例えば、ある医療クリニックでは受付カウンターに人工大理石を採用し、清掃頻度の軽減と清潔感の維持を実現しました。またフードコートでは、人工大理石の仕上げにより耐汚染性を確保しつつ、音響改善によって居心地の良い空間を実現しています。
設計の初期段階から「音と衛生」を評価軸として組み込むことは、利用者体験の質を高め、施設全体の価値を長期的に維持するために重要です。
まとめ
人工大理石は、見た目の美しさや施工精度だけでなく、快適な音環境と清潔な空間を同時に実現できる素材です。設計者や施工者にとって、今後ますます「目に見えない性能」を踏まえた提案力が求められていくでしょう。
